【福島でのフェルデンクライス活動報告2011】

フェルデンクライスの指導者仲間、福島の仮設住宅へ

2011年11月21日(月)、島根のフェルデンクライス指導者・高尾明子さんの呼びかけで、福島県の仮設住宅で、フェルデンクライスの個人セッション(FI)を無償で提供する活動をしてきました。

集まったのは指導者仲間7人。現地の社会福祉協議会を通じての活動です。

 

9月17日に続いて2回目の活動ですが、今回は事前告知はあまりされておらず、朝9時半に仮設住宅に着いたら、まず一軒一軒訪ねて、活動をお知らせすることから始めました。

お留守のお宅も多く、仮設住宅の集会所での10~17時までの活動では、最終的にFIを受けていただいたのは27名でした。

 

多くは50~80代くらいの年齢層の方々。最初に、体の具合などをお聞きすると、ほとんどの方が腰痛を挙げられました。

地震・津波、原発事故でのご苦労、狭い仮設住宅での避難生活で心身ともに大きなストレスをお持ちなのはもちろんです。

それに加え、皆さんは浪江町出身で、聞くところによると、もともと働き者の町なのだそうです。農業をしていらっしゃったり。また住んでいた家は、どこも部屋数が多く、民宿か旅館でもやっているのかと思うくらい大きかったようで、掃除も大変。それが仮設住宅では「掃除をするのも狭いからすぐ終わってしまう」と話す初老の男性の言葉が印象的でした。

地震・津波以前から、ずっと頑張って働いてこられたのだろうなぁ、体にも無理がかかっているのだろうなぁ、と思いました。

その一方で、高齢の方でも、もといた町では何かしら働くことがあったし、外に出れば近所の人たちとのおしゃべりもできたのに、今は何もすることがなく、仮設住宅に閉じこもったきり、という話も聞きました。

これらの話は、仮設にお住まいの方お一人お一人にFIをしているときに話してくださったことです。

 

私が最初に担当したのは、50代後半~60代くらいの男性で、10数年前から今年の6月くらいまで原発で働いていらしたそう。はじめに「片足のアキレス腱が痛い、両手ともしびれている」と聞いて(これは原発事故のためではないとのこと)、内心、私で大丈夫かなと思いましたが、セッションが終わると、男性が「しびれも軽くなったわ~」と言い、最初びっこで歩いていたのが楽に歩いて帰って行かれました。もちろん、FIだけでなく、おうちでご自分で簡単にできるATMもいくつかお伝えしました。

セッションを受けた方が楽になったことは、もちろんうれしいですが、前から「福島の原発で働いていらっしゃる方のために何かしたい」と思っていたので、あぁ福島に来た甲斐があったなぁ、と思いました。

 

今回は9月の前回よりもFIを受けにいらっしゃる方が少なかった分、お一人お一人に十分な時間をかけることができました。それぞれの方の体の状態に合わせて、床に仰向け、横寝、イスで、など内容が違ったので、「これは同じものですか?」と聞かれる場面も。

別の人は、集会所まで歩いて来れないおばあさんの仮設住宅へ出向いて、出張FIをしました。高いところに置いてある布団などを代わりに取って差し上げて、それも喜ばれたとのことです。

 

施術者7人、FIを受けた方が27名。それぞれ交通費をかけて福島へ来て、たったの1日。費用対効果で言えば、どれだけ役に立ったと言えるのか?私で言えば、神戸から福島までの交通費の半分でも現金で寄付をした方が、なんぼか被災した方の役に立つのではないか?そう思って、今回参加するかどうか迷ったのですが、最終的には「自分のために」と思って参加しました。

FIを受けた方がフェルデンクライスで少しでも体が楽になったのを、自分の目で見られること。「こうやって、ここへ来ておしゃべりするのもいいね。仮設では一人暮らしだから、全然しゃべらない日もある」とお話しされるのを、FIをしながら聴くこと。私自身のために、来て良かった、と思いました。

 

神戸から福島へはさすがに遠く、たびたびは行けません。次の機会には、また別の指導者が代わる代わる、福島・東北へ行ってほしいと思います。

 

私にできることといえば、福島・東北から兵庫・関西へ避難して来られた方々に、こちらでFIやATMを無償で提供することです。

地元で配っている私の教室案内のチラシに、

東日本大震災・原発事故のために避難して来られた方は、フェルデンクライスを無料でお受けになれます。お近くにいらっしゃいましたら、どうぞお知らせください。

と書いていますが、今のところ全く反応なし。神戸市や兵庫県の社会福祉協議会やボランティアを統括している部署に問い合わせもしましたが、全く返事なし。

 

そこで、今回福島の仮設住宅でFIを受けた方に「お知り合いが神戸・兵庫に避難していらっしゃれば、どうぞお知らせください」とチラシを渡しました。問い合わせがあれば、神戸・兵庫なら私が行きます。

もしお近くに、福島・宮城・岩手から避難して来られた方がいらっしゃれば、どうぞお伝えください。